東京ビデオフェスティバル 31年の歴史に幕

今日は衝撃的なお知らせを受け取りました。

「東京ビデオフェスティバル」(TVF)が、2009年をもって終了になるそうです。TVFは、日本ビクターが主催していました。今回の終了決定には、昨今の景気後退の影響もあるのではないでしょうか。とはいっても一社提供のイベントが、これほど長く続いたこと自体が奇跡なのかもしれません。

私は宮原さんとつくったアフガニスタンの女性を描いた短編ドキュメンタリー「girls’ dream」がTVF2004に入賞したことがあります。翌年2005年には、名古屋で「メディアの中の女性」をテーマにした1日イベント「IMAGE: そのイメージを、疑え。」を仲間と開催したときに、フェスティバル事務局には協賛していただいたご縁があります。

「東京ビデオフェスティバル」は、さまざまな映像作品・作家を輩出してきた30年を越える歴史をもった映像祭です。映画館で上映される「映画」とは一味も二味も違う、魅力的な個人制作の映像作品があつまるユニークなイベントでした。歴史もそうですが、なにより「東京ビデオフェスティバル」を素敵なものにしているのは、主催者の方々の熱意です。入賞者の輪をひろげるための工夫をこらしていたり、作品や審査に向かう真摯な対応は、忘れることができません。単なるイベントではなく、審査員や入賞者による上質なコミュニティができあがる場になっていたのが印象的です。

それが、今年を限りに消えてしまうのは、なんとも残念です。なんとか存続する手はないでしょうか。一社のスポンサーにたよるのではなく、市民が主体となって運営する映像祭として生まれ変わる可能性もあるかもしれません。これまでの歴史を編んで、記録をのこすことも大切ですね。なにかできることがあれば、私も協力したいとおもいます。

●関連リンク
入賞者・映像ファンが集うメーンイベント『TVF2009 in YOKOHAMA』を開催

ビデオの祭典(宮原さん)

増山たづ子という「写真家」

新宿のコニカミノルタプラザで、増山たづ子写真展「遺されたネガから」を観ました。
平日の昼間でしたが、年配の方中心にたくさんの来場者でにぎわっていました。

増山たづ子さんは、徳山ダム建設で水没する岐阜県徳山村の記録を撮りつづけたアマチュア写真家です。
写真は、村のさまざまな行事や風景、人々を撮影技巧を凝らすことなく写しています。
人々の表情は、村人でなければけっして撮ることのできない自然なものです。
徳山村の風景は特別なものではなく、誰でも自分の故郷が思い出されるような日本の田舎の風景そのものです。

彼女は、一眼レフではなく一般的なオートカメラを使いつづけました。
彼女の写真は、プロではない人による売り物ではない表現です。
その表現が大きく取り上げられるようになったのは、やはりダム建設問題の現場のドキュメンタリーであるという社会的背景が大きいはずです。
写真そのものよりも、彼女がどのようにしてデビューし、有名になったのか。つまり、プロデュースしたのは誰だったのかが気になりました。
すくなくとも朝日新聞は、今回も主催者のようですし、大きく関わっていたようですね。

会場で上映されていた名古屋テレビ(メ〜テレ)の特集映像は、いただけませんでした。
せっかくの取材が、安っぽいBGMで台無しです。会場にこの音楽が響いてしまっているので、感動の押し付けがましさが目立ってしまって残念です。
久々に安っぽい名古屋のローカル番組を思い出しました。

増山たづ子さん亡き後の関係者にインタビューした新聞連載記事のなかでも、彼女のおいの小学校の先生の言葉が印象的でした。
彼女を、戦争の被害者、ダムの被害者として描くのは簡単ですが、ただのセンチメンタリズムで語ってはいけない写真家だと思いました。
彼女がカメラを手にする前は、テープレコーダーで生活音などを録音していたといいます。
その音がどんなものだったのか聞いてみたいものです。


“増山たづ子 徳山村写真全記録” (増山 たづ子)

増山たづ子写真展
http://konicaminolta.jp/plaza/schedule/2008december/gallery_bc_081202.html

キャラクタービジネスとしてのNHK

NHK教育フェアに出かけました。お目当ては、「そうぞうライブラリー」展示ブースです。前日にNHKの方からメールでご案内いただきました。情報に感謝です。NHKも、ようやくBBC Creative Archiveのような二次創作可能なライセンスで映像を提供するようなので、これは見ておこうと思いました。しかもこども向けということは、コンテンツにも工夫があるだろうと期待していました。

NHK教育フェア
http://www.nhk.or.jp/edu-fair/

Creative Archive
http://creativearchive.bbc.co.uk/

「そうぞうライブラリー」は、ソフトウェア「そうぞうエディター」を使って、あらかじめ用意された映像素材を編集して短い作品をつくることができるものでした。「そうぞうエディター」は、さいきん話題のWindows用映像編集ソフトウェアLoiLoScopeがベースになっているとのこと。
http://loilo.tv/vpo/pressJP.html

映像素材は、自然の風景を中心にとてもきれいです。さらに、動く「どーもくん」や「おしりかじりむし」といったキャラクターを合成できます。編集のイン点・アウト点で、自動的に短時間のフェードイン・フェードアウトがかかっていて、きれいに仕上げてくれます。

しかし残念ながら、これは、こどもの創造を広げるコンテンツではありませんでした。キャラクター、背景、文字、音声というレイヤーが決められています。これを開発した大人たちは、こどもがつくる作品の枠を想定しすぎではないでしょうか。もちろん、こどもたちは、枠を超えた想定外ものをつくりのけるでしょうが、彼らにとってもちょっときゅうくつな箱庭だと思います。「キャラ」というレイヤーの存在が象徴的です。背景とキャラを合成するのは映像の楽しみのひとつだとは思いますが、それだけでは映像制作の魅力を矮小化していると思いました。

とはいえ、来年秋に公開予定で準備が進んでいるそうですので、今後に期待したいところです。

さて、となりのNHKスタジオパークも無料公開されていたので、入ってみました。

NHKスタジオパーク
http://www.nhk.or.jp/studiopark/

デジタル放送の宣伝や、番組の宣伝や、制作体験や、とにかく賑やかな展示が盛りだくさんです。教育フェアもそうでしたが、随所に説明役のお姉さんがいて、黄色い声を張り上げています。説明役にNHKのOBの方を起用してくれたほうが、だんぜん面白そうです。全体的に、とても20世紀博覧会的な展示で、タイムスリップしたようでした。自宅でテレビをやめたせいもあるのですが、まるで古いメディアとして「テレビ」の博物館を見ているような錯覚に陥りました。「そういえば、テレビってこういう華々しいメディアだったなあ…」としみじみ過去を振り返る感じです。来場者のほとんどが、小学生の団体と高齢者だったのが、いまのテレビの視聴者層を反映しているようでした。

実際の収録スタジオが、窓越しにのぞき見られるようになっているのは面白かったです。来場者がフラッシュ撮影すると、収録に支障が出るからカーテンが閉められるそうですが、すでにほとんどカーテンが閉まっていました。それでもカーテンのすき間から、大河ドラマのスタジオセット、新・日曜美術館の収録風景、ある特別番組の準備風景をのぞき見ることができました。

スタジオパークのおみやげ屋さんには、多くのキャラクターグッズが並んでいました。NHK前の広場のステージでは、キャラクターと一緒に多くのこどもたちが踊っていました。このような風景を見ると、NHKは、まるでキャラクター産業の一企業だと思わざるをえません。キャラクターを売ることは、テレビの愛好者を増やすことには寄与するでしょうが、こどもの創造性をひろげることにつながるかは疑問です。

丸善丸の内本店「第45回せかいの絵本展」

朝倉民枝さんが制作されているインタラクティブ絵本「ピッケのおうち」の新しい展開です。
ピッケの「おはなしづくりソフト」で小さな絵本作りができるワークショップが開催されます。
直前ですが、お知らせを掲載します。私は残念ながら行けないです。

ピッケが、本屋さんに初登場!
東京駅丸の内口すぐのオアゾにある丸善丸の内本店で、「せかいの絵本展」の
会期中、タッチディスプレイ版を展示します。21日(日)には、ピッケのミニ絵
本を作るワークショップもします。
去年の秋から作り続けてきたおはなしづくりソフトが、ようやくお披露目です。
■ 開催日時: 2008年9月17日(水)〜9月23日(火・祝)
9:00〜21:00 (※最終日は16:00閉場)
ワークショップは 9月21日(日)
11:00〜13:00、14:00〜16:00 各回親子4組 当日先着順
■ 開催場所: 丸善丸の内本店 4Fギャラリー
■ URL:   http://www.maruzen.co.jp/Blog/Blog/maruzen02/P/3532.aspx

これまでも、ピッケのペパドル(紙の工作)で、ごっこ遊びをしたり、おはな
し作りをして、遊んでもらってきました。
そのおはなしづくりを、絵本にするところまで進化させたのが、このソフト。
画面上の簡単な操作でおはなしづくり。プリントして、切って折ってホチキス
で留めれば、世界でたった1冊の小さな絵本のできあがり!
子どもはもちろん、大人も楽しめるソフトです。各回4組の親子にご参加いた
だけます。見学のみもできますので、お気軽にお越しください。

http://picke.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-9a02.html

Ars Electronica Festival 2008 brief report

Morning in Linz

I went to Ars Electronica Festival 2008 in Linz, Austria this summer. I like this beautiful small city.
http://www.aec.at/en/festival2008/

This year’s festival seemed a little quiet. Ars Electronica Center, the mountain train, there were many things under renovation in Linz. Because of a preparation for next year. Linz will be an European capital of culture 2009.
http://www.linz09.at/en/

This year’s festival theme is “A NEW CULTURAL ECONOMY.” The theme is not so exciting word but is reflecting important change of the festival. I think the meaning of participation is changing dynamically in the last few years. Participation is no longer ad hoc relation with each project. Many artists aim at a making relation with society.

Digital Communities category of Prix Ars Electronica is very relevant to the theme but its exhibition was only panel. I hope next year’s festival will be great.

I met my important friends living there again. I spent wonderful days at Linz.