2010年11月21日、広島市で、ケータイを使ったこどもむけワークショップを行いました。福山大学で同僚の飯田豊さん、福岡のNPO法人子ども文化コミュニティの高宮由美子さんと一緒です。主催は、広島のNPO法人子どもコミュニティネットひろしまです。
メディア表現によるコミュニケーションスキルアップ講座
デジタル伝言ゲームにチャレンジ!!
日時:11月21日(日) 10:00~13:00
会場:広島市女性教育センター(WE プラザ 大会議室)
対象:小学生20名 (保護者、大人の見学可)
飯田豊(福山大学人間文化学部メディア情報文化学科 専任講師)
杉本達應(福山大学人間文化学部メディア情報文化学科 専任講師)
高宮由美子(NPO法人子ども文化コミュニティ 代表理事)
http://www.kodomo-net.jp/20101120.html
ワークショップには、なんと札幌や大阪からも参加者が集まりました! また、前日のフォーラムで講演されていた携帯電話研究家の木暮祐一さんも見学に来られていました。参加者のみなさん、どうもありがとうございました。
伝言ゲームっておもしろい!
今回のワークショップでは、いろんな伝言ゲームで、情報を伝えることに挑戦しました。
- ことばによる伝言ゲーム
- イラストによる伝言ゲーム
- ケータイによる伝言ゲーム
ところで、伝言ゲーム、やったことありますか? 知ってはいても、実際にやる機会は意外とすくないかもしれません。でも、やってみると、楽しいし、おもしろいことがよくわかりました。伝言している途中で、ちょっとした音が変化したり、情報が欠落したりしていきます。人間の記憶力や心理、情報のあいまいさ、メディアの役割など、いろんなことを考えさせてくれます。
ことばによる伝言ゲームのお題は、「いつ、どこで、だれが、なにを、どうした」といった形式がよいようです。さらに、「○○だって」「○○らしいよ」と伝聞の形にすると、噂やニュースっぽくなりますね。難易度を上げるには、細かな修飾語をつけるといいです。たとえば、「財布を落とした」ではなく、「5000円とカードが入っていた黒い革製の財布を落とした」とか。
お絵描きによる伝言ゲームでは、言葉にたよらず、前の人が描いたイラストを短時間見たあとに、描き直して情報を伝えていきました。お題は「おいしいたいやき」だったのですが、ひとつのグループで、「おいしいおさかな」に変わってしまいました。イラストの途中経過を観察すると、湯気の線が波に、お皿の線が水槽になっています。
最後のケータイを使ったゲームは、グループごとに街に出ていきます。時間の制約もあり、バケツリレー方式で伝えるのではなく、隣のグループだけにお題を伝える連想ゲームです。お題をケータイで伝えるために、ヒントの写真を撮って、隣のグループにメールを送ります。ヒントの写真を受け取ったグループは、その答えを紙に書いた写真をメールで回答します。送られた答えが正解か不正解か判定して答えるのも写真メールです。お題が届くところから、すべてが、ケータイ写真メールのやりとりだけで進んでいくゲームです。
お題は、漢字一文字ということだけがわかっています。実際に出されたお題は、「海」「風」「波」「星」。どのお題も、昼間の街中で、そのものを写真に撮ることができないものばかりです。そのため、お題に似たようなものや、お題を連想できるイメージを探さなければいけません。
このゲームでは、限られた時間で、かなり難しいお題のヒントを探すだけでなく、届いたヒントから答えを探ることもやらなければいけません。それぞれのグループの様子を観察していましたが、みんなとても苦労していました。ところがなんと、すべてのグループが正解にたどりつきました。こどもたちの伝える力と想像する力はすごいですね。
ケータイって使いにくい!
さて、ワークショップの前日の深夜に、ホテル近くのファミレスで、打合せと準備をしました。ゲームで、写真メールを送りやすくするために、ケータイ1台ごとに、「ヒントをおくる」と「こたえをおくる」専用のメールアドレスを事前に登録しておきます。このアドレスは、前後のグループのケータイへ届くとともに、同時に会場のPCにも転送されるように設定しておきます。
この登録設定作業に、思いのほか手間どりました。わたしは、ケータイ打ちがもともと不慣れだったこともありますが、ふだん iPhone に慣れていると、従来の携帯電話の操作がとても面倒です。写真を撮ってメールを送るだけのシンプルな操作をするにも、何度もボタンを押さなくてはいけないんですよね。この時、飯田さんが、深夜に同機種のケータイを何台も並べていじっている姿は怪しいよねとつぶやいていましたが、確かに怪しい面々に映ったことでしょう(笑)。とはいえ、この前日の仕込みのおかげで、当日は問題なく動作していました。
ところで、今回使ったケータイは、主催の子どもコミュニティネットひろしまに、事前に準備していただいたものです。短期間のイベントなどに貸し出している携帯電話レンタルサービスを利用して有料で借りたとのこと。今回のワークショップは、ケータイを活用して、こどもとケータイの関係を考えなおすことができます。こどもとケータイの関係が社会的に注目されているなかで、こうした地道な活動こそ、通信事業者が積極的にサポートしてほしいものです。主催者の方は、通信事業者にも協力を依頼したそうですが、あっさり断られたようです。そもそも地方には事業者のCSRの窓口もありません。
ちなみに今回のケータイの機種がいつごろのものか気になっていたところ、木暮さんに数年前の古い機種だと教えてもらいました。さすがコレクターだけあって、一目でわかることにびっくり。そして、数年前で古くなってしまうケータイの製品サイクルの短さにも驚きます。現在進行形で次々と新しくなる機器に対して、わたしたちは、その面白さにのめりこんだり、危険や不安を感じたりしています。ときには、こうしたイベントを通じて、新しい技術に没入したり反発するだけでなく、じっくりと考えてみるのもよいですね。
次回もあります
子どもコミュニティネットひろしまでは、メディア表現のワークショップを連続して行っています。次回は、2011年1月に、朝倉民枝さんのピッケの絵本づくりなどが行われます。詳しい内容は、後日子どもコミュニティネットひろしまのWebサイトに掲載されるとのこと。広島のこどもたちに、ぜひ参加してほしいです。
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