九州新幹線には反対だったけど、開通しちゃったものはしょうがない。いまでは便利に利用させてもらっています(笑) そんな九州人としては、九州新幹線をお祝いする映画も観ておきたい。
是枝裕和『奇跡』
http://kiseki.gaga.ne.jp/
九州新幹線の一番列車がすれ違う瞬間をめざして旅するこどもたち。現実にありそうな話だけれど、じっさいには開業前日に東北地方太平洋沖大地震が発生した。そのため、映画にあるような平和な「開業前日の夜」は、起きっこない。
地震の前につくられた映画だから、劇中で地震が起きないことはわかっている。にもかかわらず、終始現実の地震のことを考えずにはいられない。設定がリアルすぎるだけに、地震のない3月11日の現実離れっぷりが浮かびあがる。この映画は、311がなかったパラレルワールドのお話なんだ。
素朴に桜島の大噴火を夢見るこどもは、いまだと配慮に欠けるように見えるかもしれない。でも、こどもにとっての大災害は悪夢ではなく、ときに恋しいものだということを思いださせてくれる。ドキュメンタリータッチのこどもたちの会話シーンはとてもよかった。